- たし
- I
たし(助動)〔希望の助動詞「たい」の古語形。 中古の「まほし」に代わって中世以降用いられるようになった〕活用形式は形容詞のク活用型。 動詞およびそれと同じ活用型の助動詞の連用形に接続する。(1)話し手自身の希望を表す。
「若き弟子の器量の仁ありけるに, 秘法をも伝授し, 印信を許し〈たく〉思ふに/沙石2」「敵にあうてこそ死に〈たけれ〉, 悪所におちては死に〈たから〉ず/平家 9」
(2)話し手以外の人の希望を表す。「(オ前ガ)八島へ帰り〈たく〉は, 一門の中へ言ひ送つて, 三種の神器を都へ返し入れ奉れ/平家 10」「(盛親僧都ハ)帰り〈たけれ〉ば, ひとりつい立ちて行きけり/徒然 60」
→ たい(助動)IIたし(接尾)⇒ たい(接尾)IIIたし(連語)〔完了の助動詞「たり」の連用形「たり」に過去の助動詞「き」の連体形「し」の付いた「たりし」の音便の形「たっし」の促音無表記から。 中世後期の抄物に用いられた〕過去または完了の意を表す。 …た。 …てしまった。「大義なつ~事ぞ/漢書抄 4」「昔の呉の先太伯が弟を虞仲と云ひ~か/史記抄 9」
→ たっし※一※IVたし【他志】そむく心。 ふたごころ。Vたし【他紙】ほかの新聞。VIたし【他誌】ほかの雑誌。VIIたし【多士】多くの人材。→ 多士済済VIIIたし【多子】生んだ子の多いこと。 子だくさん。IXたし【足し】不足を補うもの。 補い。「生活費の~にする」「腹の~にならない」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.